庭に咲いた深紅の薔薇を切って 緑色の硝子瓶に挿して食卓の上に置いた。
大きな花が一つ、中位の開き始めた花が一つ、そしてもう一つは小さな蕾。
毎日 眺めている。
咲き誇っていた薔薇は、日に日に枯れていく。
大きな花は 少しずつ小さくなり、中位の花は 大きく花開くことなく
蕾は蕾のまま 枯れていく。
その姿がいとおしくて ずっと見ていようと思った。
誰であれ 何であれ 若くて新しい時は 美しいものだと思う。
けれども 枯れていく姿も美しいと思えた。
蒼ざめて 項垂れて 物言わなくても、揺るがなく存在している。
年老いていく自分を ありのままの自分を 誤魔化すことなく見るのだ
と 枯れていく薔薇が 静かに教えてくれた。