京都市中京区押小路堺町の下宿のおばあちゃんは
私が、何かをしてもいいですか?と尋ねると いつも
「かましまへんけどな。」と答えた。
19歳の娘は そうしてもいいんだ!と思い込んでは
いつも 後から注意されるのだった。
そのころは 何にもわからなかった。
今思えば、「かましまへんけどな」は 「絶対あかん」
ということだったのだ。
やんわりと否定するなんて 京都の雅な感覚は
田舎娘には理解できるものではなかった。
今でも時々耳の奥で おばあちゃんの「かましまへんけどな」が
響いている。強烈なカルチャーショックだった。
ところで おばあちゃんだと、思い込んでいたけれど 案外
若かったのかもしれない。 自分も年をとってから そんなことを
いうのは申し訳ない話だけど。
19の私には しっかり「おばあちゃん」に見えてしまった。
ごめんなさい。