「ぜんざい、って 言うてみ。」 いきなり 妙ちゃんが言った。
「でんだい・・・?」
「やっぱり、ほんとやわー。和歌山県人は ざじずぜぞ が
言えないって聞いてたけど。」
33年前 京都の学生寮に入ってすぐのことである。
全国各地からやってきた女の子たちの中で、早速
私は 試されてしまった。
確かに 私は 「ぜんざい」と言ったつもりだった。
思い込みもあると思うけど やはり 「でんだい」と
聞こえてしまったのだろう。
言葉のコンプレックスは ずっと 付き纏っている。
ぜんざい、といえば 織田作之助の「夫婦善哉」だ。
法善寺横町を 連れ合いと歩いた時に 食べた。
あの時は 織田作を訪ねて、大阪散歩だった。
ぜんざいが 好きだから でんだいで 笑われても
私、めげない。