いきなりその声は聞こえてきた。目の前の受け付けの椅子に座っているおばあさんが訴えるように「その日は16年の火星大接近の日だったからよく覚えています。6月1日でした。」けれども「その日の記録はありません。」という答えに何度も何度も「火星大接近」という言葉を繰り返すので 気になって家に帰ってから調べてみた。
確かに「火星大接近」は2016年にあった。6月1日ではなく5月31日だったけれど。そして大接近ではなく中接近だったような・・・それでもそのおばあさんにとって「火星大接近」は衝撃的なニュースだったのだろう。16年と言い張った為 2016年ではなく平成16年には記録が残っていなかったらしい。
「火星」と聞いて私の心に浮かんだのは 高村光太郎の詩だった。
「火星が出てゐる」
要するにどうすればいいか、といふ問いは、
折角たどった思索の道を初にかへす。
要するにどうでもいいのか、
否、否、無限大に否。
といふ、詩。続きも書きたいところですが この辺で。あとは心の中で唱えます。
次の火星大接近は2018年7月31日だそうで 楽しみに待つことにしよう。
思いがけなく火星を意識することになった。その後 そのおばあさんを見かけたら「あ、火星大接近のおばあさんだ。」と思ふ。
追記 ふと見れば 先日8か月ぶりに図書館に行って借りてきた五冊の本の中に
「LIFE ON MARS? 火星に住むつもりかい?」という伊坂幸太郎の本があった。無意識の選択だったけれど タイトルを見てびっくり!これから読みます。